両子寺の御朱印~六郷満山を統括していた古刹~(大分県国東市)

所在地大分県国東市安岐町両子1548
宗 派天台宗
札 所 ・九州西国三十三ヶ所 第6番
・国東六郷満山霊場 第13番
・宇佐神宮六郷満山 第31番
・九州三十六不動霊場 第1番
由 緒718年、仁聞菩薩が開創したお寺といわれています。当時は六郷満山の中山本寺で、修行の中心地として栄えていたそうです。江戸時代には杵築藩の最高祈願所となり、六郷満山の総持院として全山を統括していたそうです。
HP両子寺ホームページ – 国東市
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六郷満山とは?

●六郷満山とは?

ザックリと簡単に六郷満山とは、国東半島一帯にあるお寺群の総称です。

六郷とは両子山を中心とした6つの郷
満山とはそこに築かれたお寺群のこと。

伝説によると、718年、八幡神の化身・仁聞菩薩が国東半島の各地に28の寺院を開創し、69000体の仏像を造ったのが始まりといいます。

国東半島は古くから仏教が盛んな地でした。
また八幡神社の総本宮・宇佐神宮の八幡信仰も盛んな地でした。

やがて八幡信仰と山岳宗教は融合し、神仏習合の形態をとるようになりました。

そして神仏習合は、六郷満山という独特の文化へと発展していきます。


六郷満山は活動の目的から3つのカテゴリーに分類されています。

本山 → 学問をするための寺院。
中山 → 修行をするための寺院。
末山 → 布教をするための寺院。

最盛期には、寺院の数が65寺にも膨れ上がり、六郷満山の独自の文化が花開いたといいます。


現在は、33の寺院と番外に宇佐神宮を加えた国東六郷満山霊場(国東半島三十三箇所)が構成されています。

ということで、国東半島には現在も神仏習合の名残をとどめる寺社がたくさん存在しているという。

ちなみに国東は神仏習合発祥の地といわれています!
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石造・仁王像

●石造・仁王像①

そんなこんなで、標高721mの両子山の中腹にあります両子寺に到着。

両子寺と書いてふたごじと読みます。
これはさすがに読めない!

そんなことより、両子寺といえば国東半島最大級の石造・仁王像!


●石造・仁王像
・江戸時代後期作
・総高 245cm
・像高 230cm
・安山岩
・国東市指定有形文化財

国東半島は安山岩と凝灰岩が採れる石材の宝庫
そのためビックリするほどたくさんの石造物が残されています。

国東半島には約100体の石造・仁王さんがいるらしく、全国の石造・仁王さんの約8割がここ国東半島に集中してるんだって!


2mを超す巨像で迫力満点で堂々としたたたずまい。
観光ポスターになったりもする有名な仁王さんです。

有名仏という自覚があるからか、ビンビンにカリスマオーラを放射していましたよ!


仁王さん足元には

ご参拝の方で足腰の悪い方は仁王像の足をさすって強い足にあやかってください

と書かれた札がありました。

どうやら仁王さんの足をスリスリとさすれば足腰の御利益があるとのことです。


なにぶん腰弱日本代表なもんで・・・

そんなこんなでスリスリ・・・


早速、御利益があったからか、長い石段も余裕の足運び。

そんなことより、すごい良い雰囲気の参道!

神様と仏様の視線を感じちゃうくらいスピリチュアルな空間でしたよ。
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山門と参道と手水鉢と鐘楼

●山門

●山門
・建立年不明
・銅板葺 切妻造 四脚門

そんなこんなで、石段を上ると山門に到着。

噂によると、この山門は国東半島で最古の門らしいですよ!


扁額には山号の足曳山。

そしてお寺なのに注連柱があるという。

国東半島の多くのお寺がそうであるように、やはりこのお寺も神仏習合の名残をとどめていました。


●参道

そんなこんなで、山門をくぐると石垣に挟まれた石畳の参道に突入。

さすが石造王国!
石をふんだんに使っています。

目に映るものは石と木のみ!


参道脇には僧坊もしくは塔頭と思われる跡地を確認することができました。

この両子寺は、六郷満山の中山本寺として繁栄したお寺さんです。
江戸時代には六郷満山の総持院として全山を統括してたんだって!

ということで、当時は山岳修行の根本道場、すなわち修行の中心地だったんだね!

きっと僧坊があるこの参道は多くの僧侶が行き来してたんだろうなぁ。


そんなこんなで、石畳の参道を過ぎると護摩堂が見えてきました。

そして2度見してしまう・・・石垣が変!
丸みを帯びてる!

石垣って角がとんがってるイメージがあるけど、こちらの石垣は膨れたように丸いの!

しかも、高いのにほとんど勾配がないの!

この石垣、どういう力の伝わり方をしてるんだろう・・・。


●手水鉢

とかなんとか思いつつ、手水鉢に到着。

このお酌・・・鯉にエサ撒きするやつじゃん。


●鐘楼

とかなんとか思いつつ、鐘楼へ。

どうやら、もともとあった梵鐘は戦時中の金属類回収令によって供出されちゃったんだって。。

ということで、現在の梵鐘は戦後に第64代住職さんが再建したものらしいですよ。

ちなみにこの梵鐘は、戦争のない平和な世の中を願って平和の鐘と名付けられています。
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護摩堂

●護摩堂

●護摩堂
・1892年再建
・銅板葺 宝形造

そんなこんなで、護摩堂で参拝。

本尊は鎌倉時代作の不動明王さん。
その他、観音菩薩像・阿弥陀如来像・毘沙門天像などが安置されていました。


国東半島にはにまつわる伝説が多数存在します。

古来より鬼は不思議な法力を持つ存在として、僧侶達の憧れの存在だったんだって。

当時の修験者や僧侶たちは、鬼の姿を探して国東の岩峰をよじ登っていたそうですよ。

六郷満山のほとんどのお寺で鬼面が作られ、僧侶が扮する鬼は国家安泰から雨乞いまで様々な願いを叶えてきたといいます。

こうして国東には鬼に祈る文化が花開いたといわれています。

ちなみに、国東の鬼は不動明王と共通する部分があるため、国東では鬼 = 不動明王として信仰されているみたいですよ。

そんなこんなで、国東半島では不動明王さんを信仰するがお寺が多いです。


ということで、護摩堂の前にも不動明王さんがおられました。

あと、1回まわすと般若心経を1巻読んだことになる般若心経回転塔もありました。


護摩堂の近くには石造の五重塔十六善神像もありました。

十六善神とは、四天王と十二神将と合わせた合計16名の護法善神です。

般若経を守るお仕事をしています。
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両子寺七不思議

●護摩堂から大講堂へ

そんなこんなで、護摩堂に別れを告げて大講堂へ。

杉に囲まれた静かな山道をテクテク。

すると稲荷社と三面出世大黒天を祀る大黒社が見えてきました。


●鬼橋

稲荷社と大黒社に続く道には、鬼橋と呼ばれる1枚岩の橋がありました。

どうやらこの橋は、千徳坊というお坊さんが架けた橋のようです。

千徳坊さんはめちゃくちゃ力持ちで、鬼と呼ばれてたんだって!
その怪力で山から大石を引き下ろし、ここに橋を架けたんだって。

ちなみに、この鬼橋は両子寺七不思議の1つに数えられています。


●両子寺七不思議

●両子寺七不思議

①走水観音
観音さんの下から湧き出る水は、干ばつでも雨季でも1年中一定の水量を保ち、水温も変わらないという。

②無明橋
橋の下に観音様を祀ってあり、信仰心がない人でもこの橋を渡ると不思議と信仰心が湧き起こるという。 また牛や馬が渡れば落橋するという。

③鬼橋
千徳坊という力持ちのお坊さんが山から引きろ下して架けた橋だという。

④しぐれ紅葉
紅葉の下に立って上を見上げると、晴天の日でもしずくが落ちてくるという。

⑤針の耳
登山道の途中に、穴のあいた岩があるという。針に糸を通すように難しそうな岩だけど、不思議と簡単に通り抜けることができるという。

⑥鬼の背割
登山道の途中にある巨石を、千徳坊という力持ちのお坊さんが割って通路をあけたという。

⑦鹿のツメ割
山頂へ登る道の途中にある巨石に、鹿の親子の爪跡が残っているという。

・・・


うぅ~ん・・・


どれもパッしない微妙な七不思議・・・


私的には、こっちの方が不思議でしょうがないよ!

ひっくり返った大釜に石が積んであるんだけど・・・これは国東独自の信仰かい?


あと、これも七不思議に加えてほしい・・・

石がカブトムシみたいになってるんだよ!

神仏のパワーを浴び続けると石も進化するのかね?


あと、これも七不思議に加えてほしい・・・


足がCCレモン!

両子寺七不思議としてどうですか?

大講堂

●石造・仁王像②

そんなこんなで、鬼橋を渡ると小さな石造・仁王像が登場。

境内入口の写実的な仁王さんに比べて、こちらはかなりポップにデフォルメされています。

通常なら、こちらの方が珍しいっ!
と、なるはずですが、国東半島ではこちらのポップな仁王さんの方がスタンダードです。

いやはや、国東半島の宗教文化はかなり独特。


●参道

小さな仁王さんを過ぎると再び石段が登場。
石段の脇にはたくさんの石塔が並んでいました。

ミニ国東塔か!?

と思われましたが、全て五輪塔でした。


●大講堂

●大講堂
・1991年再建
・銅板葺 宝形造

そんなこんなで、石段を上ると大講堂に到着。

たいして大きくないけど大講堂!

通常、講堂は僧侶の教学論議の道場でありますが、国東では正月行事・修正鬼会の儀式を行うお堂として使用するんだって!

やはり国東の宗教文化は独特です。


~画像は説明板より~

堂内には鎌倉時代末期作の阿弥陀三尊像が安置されていました。

そんなこんなで、しばし見仏。

その他、釈迦三尊像と四天王像と伝教大師像が安置されています。

ちなみに堂内は撮影禁止でした。

鳥居と崖上国東塔と磨崖板碑

●奥の院 鳥居

そんなこんなで、大講堂を過ぎると鳥居が登場。

これぞ神仏習合の風景。
これはわかりやすい神仏習合の風景です。

鳥居の扁額には両所大権現と書かれておりました。


●狛犬

●狛犬
・1866年奉納
・安山岩

鳥居をくぐると狛犬ちゃんもいました。

これもまた、ザ・神仏習合の風景です。

スリムで足が長く、頭でっかちな狛犬ちゃんでした。
どこかしら浪速型のテイストもあり。
表情は台湾狛犬のテイストもあり。

今まで出会ったことが有るようで無い狛犬ちゃんでした。


●奥の院 参道

そんなこんなで
はいドン!

境内はまだまだ続きます。
このお寺、相当広いです。

ここに来ての階段は相当メンタルをやられますが、ここでひと息・・・境内入口の仁王さんのことを思い出しました。

仁王さんの足をスリスリしたことを。
健脚の御利益を授かったことを。

それを思い出した途端、弱メンタルから強メンタルに!

ということで、余裕で上りきりました。



というのは、全部ウソでかなり涙目でした。


●崖上国東塔

●崖上国東塔
・室町時代建立
・高さ 207cm
・安山岩
・国東市指定有形文化財

続いて、崖の上に国東塔を発見。

国東塔は日本に約500基あるといわれていますが、そのうち約9割が国東半島に集中しているという!

というか国東塔ってなーに?


国東塔とは塔身の下に蓮華座がある宝塔のことです。

国東半島で独自の発展を遂げた石塔で、納経・家門の繁栄祈願・墓標・生前供養・追善供養などを目的として造られた塔です。


●磨崖板碑

国東塔の後ろに巨大な板碑がありました。

なんとこちらは日本最大の磨崖板碑だという!


説明板によると、この磨崖板碑は追善生善供養のために造られたものなんだって。

遠すぎて肉眼で確認することができませんでしたが、板碑には梵字が彫ってあるそうですよ。

奥の院と岩屋洞窟

●奥の院

そうこうしていると奥の院が見えてきました!

やっと着いた!


●奥の院
・1846年建立
・銅板葺 軒唐破風・千鳥破風
・入母屋造
・杵築藩主 松平氏が寄進

こちらのお堂は 、旧杵築藩主・松平氏が寄進したものなんだって。

江戸時代、両子寺は杵築藩の最高祈願所だったそうで、松平氏から篤い崇敬を受けていたといいます。

両子寺は、明治時代の神仏分離、第二次世界大戦、自然災害などなど、数々の法難に遭ったそうですが、このお堂は寺内に残る数少ない木造古建築。

ちなみに堂内には、千手観音立像・両子大権現・宇佐八幡神像・仁聞菩薩像が安置されていました。


お堂は背後の岩壁と合体していました。
そして懸造になっていました。


岩の形に合わせて板壁を造るという匠の技も炸裂させちゃってます。
なかなか見応えのあるお堂でしたよ。


●岩屋洞窟

そんなこんなで、お堂の背後にある岩屋洞窟へ。


薄暗い洞窟を歩く。
なんだろう、このインディージョーンズ感。
ワクワクするね。

壁をよく見てみると、ノミ跡を確認することができました。


洞窟の突き当たりは広い空間になっていました。

まるで神仏の息吹が閉じこもっているような、そんな神聖な空気を肌で感じることができました。


岩窟内では、岩から少しづつ湧き出る貴重な霊水を頂くこともできます。


本当に少量なので飲み過ぎ注意です。

その他の見どころ

●国東塔

●国東塔
・鎌倉時代建立
・高さ 4.48m
・安山岩
・国東市指定有形文化財


●金田一京助の歌碑

歌碑には

山川の音は父母の愛に似て
変わることなし たゆることなし

と刻まれていました。

ちなみに金田一京助さんは、ベストセラー作家・金田一春彦さんの父らしいです。

あたしゃ目が悪いので大島渚さんに見えましたよ。


●石仏

イスの上に立つ観音さんもおられました。

このパターンは初めて拝見しましたよ!


そんなこんなで、本日のお寺巡りはこれにて終了。

本当はこの後、文殊仙寺に行く予定でしたが、あたしゃもうお腹一杯です。

もう仏欲は満たされたので温泉探しをします!

御朱印情報

●御朱印の種類
①千手観音の御朱印
(九州西国三十三ヶ所 第6番)
②千手観音の御朱印
(宇佐神宮六郷満山 第31番)
③不動明王の御朱印
(九州三十六不動霊場 第1番)

●御朱印の受付場所
・納経所

●御朱印の受付時間
・3月~11月
 8:00~17:00
・12月~2月
 8:30~16:30

●御朱印の料金
・各300円

●期間限定・特別御朱印
・鬼めぐりの御朱印(七鬼・鈴鬼)
・不動めぐりの御朱印(両子不動尊)
・五ヶ寺限定の御朱印(千手観音)


●オリジナル御朱印帳

●オリジナル御朱印帳
サイズ 16cm × 11cm
 紺・赤 

・2014年5月4日 参拝
・2021年3月 更新
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参拝情報とアクセス

●開門時間
・3月~11月
 8:00~17:00
・12月~2月
 8:30~16:30

●定休日
・悪天候の場合は閉門する場合があり
(参拝時は事前に要確認)

●拝観料
・300円

●最寄りの駅
・JR宇佐駅から車で30分
・JR杵築駅から車で35分

●最寄りのバス停
・JR杵築駅から
 大分交通 国東・安岐行きに乗車
 安岐停留所で下車
 大分交通 両子寺行きに乗り換え
 終点で下車

●駐車場
・無料の専用駐車場あり(100台)

両子寺の地図

 

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