東大寺別院 阿弥陀寺の御朱印|重源上人が創建した東大寺七別所の1つ|(山口県防府市)

所在地山口県防府市大字牟礼上坂本1869
宗 派華厳宗
寺 格東大寺別院
由 緒1187年、奈良・東大寺再建のため周防国を訪れていた重源上人が、後白河法皇の現生安穏を祈願して創建したお寺といわれています。その後、1484年に焼失しますが、大内氏の援助を受けて再興し、現在に至るそうです。寺宝として、国宝・鉄宝塔があります。
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東大寺七別所とは?

●境内入口

防府市の最高峰・大平山の山麓にあります東大寺別院 阿弥陀寺に到着。

正式名称は東大寺別院 華宮山 阿彌陀寺
とうだいじべついん かきゅうさん あみだじと読みます。

このお寺は重源上人が東大寺再建のために設けた東大寺七別所の1つで、山口県きっての名刹として知られています。

ちなみに東大寺七別所とは、重源上人が東大寺再建の拠点として各地に設けた寺院のことです。

●東大寺七別所

東大寺別所(東大寺 浄土堂)
東大寺別所では、東大寺再建事業の統括ならびに勧進聖の管理をしていたといわれています。

ちなみに東大寺 浄土堂は、現・俊乗堂が建つ場所にあったそうです。


東大寺播磨別所(浄土寺)
播磨別所は、快慶作の阿弥陀三尊像で知られる兵庫県小野市の浄土寺

播磨別所では、東大寺造営料の調達(荘園の管理)をしていたそうです。


東大寺周防別所(阿弥陀寺)
周防別所は、山口県防府市の阿弥陀寺

周防別所では、東大寺再建のために切り出した木材(周防杣)の経営・管理をしていたそうです。


東大寺伊賀別所(新大仏寺)
伊賀別所は、快慶作の大仏(頭部)で知られる三重県伊賀市の新大仏寺

伊賀別所では、東大寺造営料の調達(荘園の管理)をしていたそうです。


東大寺高野新別所(円通律寺)
高野新別所は、和歌山県の高野山にある円通律寺

高野新別所での役割は不明
勧進聖の養成をしていたのでしょうか?

ちなみに円通寺律寺は修行道場のため立入禁止となっております。


東大寺渡辺別所(大阪)
渡辺別所は遺構が見つかっていないため所在地は不明

摂津国・旧淀川河口近くにあった渡辺津あたりでしょうか?

渡辺別所には丈六・阿弥陀如来像を安置する浄土堂があったといわれ、周防国から瀬戸内海を通って運ばれてきた木材の中継地になっていたと推測されています。


東大寺備中別所(岡山)
備中別所も所在地は不明

備中別所があった場所は吉備津神社周辺という説や新山寺(廃寺)という説があったりします。

備中別所では、東大寺造営料の調達(荘園の管理)をしていたそうです。

ちなみに岡山市の万富東大寺瓦窯跡は、東大寺再建のための瓦を焼いた窯跡といわれています。
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重源上人と山口

●重源上人と山口

1180年、平清盛の命を受けた平重衡ら平家軍が、東大寺・興福寺など奈良(南都)の仏教寺院を焼き討ちにしました(南都焼討)

この焼き討ちによって興福寺は全焼。
東大寺も主要伽藍のほとんどが焼失してしまったという。

1181年、重源上人は東大寺の被害状況を視察に来ていた後白河法皇の使者・藤原行隆に東大寺再建を進言。

そして、重源上人は東大寺再建の責任者として東大寺勧進職に任命されました。

そんなこんなで、重源上人は東大寺再建のための巨木を求めて周防国の徳地を訪れました。

徳地は面積の約9割を森林が占め、古くから良質の木材が採れる産地として知られていました。

ちなみに、重源上人は宋から帰国後の1171年頃、博多・誓願寺の本尊を制作する際にも徳地の木材を使用しています。


そんなこんなで1186年、重源上人は周防国の国司として赴任。
そして木材切り出し運搬を指揮しました。

大木の伐採や運搬は困難を極めましたが、佐波川を使って材木を海まで運び、そこから船で奈良へ運んでいきました。


また、重源上人は作業に従事した人々の健康のために石風呂(サウナ)を設置。

石風呂は、防府・徳地周辺に約60ヶ所もつくったといわれています。



その他、重源上人は周防国に赴任中、周防国一宮・玉祖神社防府天満宮の社殿などを建て替えています(当時の社殿は現存せず)

そして周防国に赴任して9年後の1195年、無事大仏殿再建されました。

しかしその後、1567年に再び焼失してしまいました・・・重源さんオツです。。


ちなみに近年、徳地の法光寺に安置されている阿弥陀如来坐像年輪が、東大寺仁王像の年輪と同じということが判明し注目を集めています。

東大寺・南大門の仁王さん(国宝)は徳地の木でつくられていたのですね!

そんなこんなで、参拝開始。

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仁王門と参道と中門

●仁王門

●仁王門
・1685年再建
・茅葺 切妻造
・三間一戸 八脚門
・防府市指定有形文化財

まず最初に登場するのは茅葺き屋根の仁王門

まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような!

そんなこんなで、古き良き日本の情緒を堪能したひと時でした。


桁行(横幅)は8.33m。
そして、梁間(奥行)は5m。

ドッシリと力強くて大きいのに、優しさもある素敵な門でした。


あと茅で作られた鰹木が可愛いかったです。


●金剛力士像(仁王像)
・鎌倉時代初期作
・阿形 像高270cm
・吽形 像高275.1cm
・檜材 寄木造 玉眼
・国指定重要文化財

仁王門の両サイドには、快慶一派によって作られた立派な仁王さんがおられました。

地方で慶派の仁王さんに出会えるのはかなりレアですね!

もしかしたら、これは東大寺との繋がりが関係しているのでしょうか?



それにしても、見事な仁王さんです!

厳ついお顔と生命感のある眼力。
力量感あふれる堂々としたポージングとバランス。

さすが慶派!


仁王さんの前には大きな鉄湯釜がありました。

いつ頃の作品かはわかりませんが、とても古そうに見えました。


そんなこんなで、仁王門をくぐって参道へ。


●参道

参道は長〜い石階段になっておりました。

急な階段ではありませんが、歩きやすい靴での参拝をオススメします(余計なお世話ってか)


●中門

●中門
・建立年不明
・1871年移築
・瓦葺 切妻造 四脚門

そんなこんなで、石階段を上りきると中門に到着。

この門は国庁寺(東大寺所管)の惣門を移築したものといわれています。


ちなみに国庁寺とは、東大寺の管轄下にあった周防国府の政庁が寺院化したものといわれています。

平家の南都焼き討ちの後、周防国は東大寺領となりますが、戦国時代に大内氏に代わって周防国を治めることになった毛利氏の時代に国府機能は失ったそうです。

そして庁舎は東大寺の支院となり、国庁寺と呼ばれるようになったんだって。

しかし国庁寺は1871年に解体されました。。
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本堂と護摩堂

●本堂

●本堂
・1731年再建
・瓦葺 入母屋造
・本尊 阿弥陀如来

本堂は1731年に右田毛利家5代当主・毛利広政さんが再建したものといわれています。

って、右田毛利家って何よ!?

調べてみると、右田毛利家と書いてみぎたもうりけと読むそうです。

右田毛利家は毛利元就の7男・毛利元政さんを祖とする毛利家一門の家老家なんだって。

関ヶ原の戦いの後、周防三丘(現・山口県周防市)に1万石を与えられましたが、毛利元政の嫡男・元倶さんが毛利一門の家老・宍戸家と領地を交換し、1625年に周防右田(現・山口県防府市)に移封したそうです。

ちなみに右田毛利家は、一門家老の中で宍戸家に次ぐ家格なんだって。


このお寺の歴代住職は1187年の創建から文明年間までの約300年間、勅命で拝任され、周防国の国務管理を兼ねていたという。

初代住職はもちろん重源さん。

2代目の住職さんは東大寺大勧進職にもなった退耕行勇(荘厳房法印行勇)さん。

14代目の住職さんは社会的弱者の救済に尽力した良観(忍性)さん。

東大寺別院というだけあって、結構なビッグネームが絡んできてます。


このお堂で面白いなぁ〜と思ったのが、入口が2つあるところ!

正面中央の唐破風向拝の入口は本堂の入口。

そして正面右側にある切妻屋根は・・・なんだ???

このタイプの入口は客殿や書院の玄関でよく見かけるけど、本堂で玄関があるのは初めて拝見しましたよ!

もしかしたら、中央の入口は一般参拝者用で、玄関は賓客や格が高い方用の入口なのかな?

それか、客殿と書院を兼ねたお堂なのかな?
でも別の場所に客殿があったしなぁ???

何にしろ面白い造りのお堂でした。


そんなこんなで、中央の入口から堂内へ。

堂内には小さな梵鐘と古そうな板絵が掲げられていました。

阿弥陀寺という寺号でもわかるように、御本尊は阿弥陀如来さん。

宗派は東大寺と同じ華厳宗となっております。

奈良・京都では珍しくありませんが、中国地方で華厳宗寺院があるのはかなりレアだと思いました。


●護摩堂

●護摩堂
・1731年再建
・瓦葺 宝形造

続いて、護摩堂を参拝。

堂内には古そうな五大明王さんと僧守護童子さんと金剛護童子さんが安置されていました。

五大明王の眷属といえば八大童子もしくは矜迦羅童子と制叱迦童子がスタンダードとなりますが、ここの五大明王さんは三十六童子の僧守護童子と金剛護童子を引き連れていました。

これはなかなか珍しいフォーメーションですね。


境内の真ん中には枯れた川があり、本堂・護摩堂・庫裏があるメインエリアと、開山堂や念仏堂などの諸堂があるサブエリアに分断されていました。

今更ながら気付く・・・境内広っ!

そんなこんなで、あみだ橋を渡ってサブエリアへ。
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開山堂と鐘楼と念仏堂と経堂

●開山堂

●開山堂
・1709年再建
・瓦葺 宝形造

続いて、開山堂を参拝。

このお寺の開山はもちろん重源上人

ということで、堂内には重源上人像がある・・・と思ったら、現在は宝物館に安置されているみたいです。

ちなみに現在、堂内には薬師如来坐像弘法大師坐像が安置されてるんだって。

●重源上人坐像
・鎌倉時代作
・像高 88.2cm
・檜材 一木造
・国指定重要文化財


●鐘楼

●鐘楼
・建立年不明
・瓦葺 入母屋造

続いて、鐘楼が登場。

って、ここで鐘楼が登場するか!

もしかしたら参拝順を間違えてしまったかも知れませんね・・・(-“-;) ??

多分、逆回りしてる!

さすがに出鐘は気が引けちゃうので鐘突きは遠慮しておこう!


そんなことより、梵鐘には6つのスリットが入っていました!


説明板によると、1197年に造立された鉄塔(国宝)の銘文に鐘楼六葉鐘一口 竪三尺 口一尺三寸と書かれているそうです。

しかし、その梵鐘は失われてしまったという。。

そんなこんなでこの梵鐘は、1953年に阿弥陀寺が東大寺別院になったことを記念して、重源上人ゆかりの東大寺六葉鐘を模造

そして、1958年に東大寺から寄贈されたんだって。


●念仏堂

●念仏堂
・1903年再建
・瓦葺 宝形造

続いて、念仏堂を参拝。

創建当時は丈六の阿弥陀如来像が安置されていたそうです。

現在は1692年作の阿弥陀如来坐像が安置されてるんだって。

かつては12名の念仏衆が日々念仏を唱え、心身浄化をはかる修行をしていたそうです。


●経堂

●経堂
・1719年再建
・瓦葺 宝形造

堂内には釈迦如来さんが安置されているみたいです。


●謎のお堂
・建立年不明
・瓦葺 宝形造

その他、不明のお堂がありました。

一体全体、何のお堂でしょ???

というか、護摩堂・開山堂・念仏堂・経堂・謎のお堂・・・全てが宝形造でした。

宝形造5連発!

統一感があって清々しいですねぇ。

石風呂と湯屋

●石風呂①

このお寺の最大の特徴は石風呂があること!

重源上人は東大寺再建のための木材を切り出す際、作業に従事する人々の健康のために石風呂を設置。

石風呂は、防府・徳地周辺に約60ヶ所もつくられたといわれています。

ちなみに、この石風呂は現在使えません。


●湯屋

●湯屋(覆屋)
・建立年不明(江戸時代建立?)
・瓦葺 切妻造
・桁行(横幅) 10.53m
・梁間(奥行) 4.5m
・国指定重要有形民族文化財

●石湯舟
・1820年作
・内寸 長さ128cm
    幅 28cm
    深さ14cm

●鉄湯釜
・1828年作

さらに境内には湯屋もありました!

先ほどの石風呂はサウナ形式ですが、この湯屋にある風呂は釜から湯を取って洗い流す入浴方式のようです。

このような入浴方式を取湯(とりゆ)式と呼ぶんだって。

このお寺は1484年に焼失。
その後、1673〜1683年に再建されますが、その際、この湯屋が最初に完成したのだという!

そんなこんなで、このお寺にとって風呂はとっても大事なものなんですね。

ちなみに私の職場にもお風呂があるのですが、風呂ばっかり入ってるのでプロ集団ならぬ風呂集団と呼ばれています!

って、どうでもいい話でスミマセン!

そんなことより、宝物館には鎌倉時代作の鉄湯釜鉄湯舟があるそうです。

●鉄湯釜
・鎌倉時代作
・国指定重要文化財


●石風呂②

さらにさらに、湯屋の後ろには実際に入浴できる石風呂もあるという!

この石風呂は月に1度、誰でも入浴できるんだって。

混浴か、混浴なのかっ!!

おっと、スミマセン。

●石風呂体験
日時 毎月第1日曜日
    12:00〜19:00
料金 300円(薪代)

※タオル・着替え・汚れてもいい服・水分を持参。

どうやらこの石風呂は、神経痛や腰痛によく効くそうですよ。

その他の見どころ

●あじさい寺

~画像はフリー素材より~

境内には80種・約4000株のあじさいが植えられているそうです。

そんなこんなで、このお寺は別名・あじさい寺と呼ばれているらしく、シーズン中には大勢の参拝者が訪れるそうですよ。

あと、紅葉シーズンも人気のようです。


●宝物館

●宝物館
・鉄塔(国宝)
・重源上人坐像(国重文)
・鉄印東大寺槌印(国重文)
・鉄湯釜(国重文)などなど

宝物館には鉄塔(国宝)重源上人坐像(国重文)などが収蔵されています。

がっ!

事前予約をしないと拝観できないという!

なにぶん無計画な旅なもんで・・・そんなことは知らなかった。。

ちなみに国宝・鉄塔は日本最古の鉄塔なんだって。

是非とも拝見したかった・・・またの機会にでも!


その他、境内には木材の運搬を再現したモニュメントがあったり


小さな滝があったり


水車小屋があったり


素敵なお庭があったり


背番号付きのイスがあったりしました。


そんなこんなで、参拝終了。

見どころが多過ぎて、あたしゃお腹いっぱいです!

御朱印情報

●御朱印の種類
・阿弥陀如来の御朱印(本尊)
・五大明王の御朱印(護摩堂本尊)

●御朱印の受付場所
・庫裏

●御朱印の受付時間
・不明(9:00~17:00?)

●御朱印の料金
・各300円

●期間限定・特別御朱印
・なし

●オリジナル御朱印帳
・なし

・2010年4月24日 参拝
・2022年11月 更新

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参拝情報とアクセス

●開門時間
・不明

●拝観料
・無料

●宝物館
開館時間
 9:00~17:00(前日までに要予約)

拝観料
 大人 400円
 中高校生 200円
 小学生以下 無料

 団体(30名以上)大人300円
          中高校生150円

●最寄りの駅
・JR防府駅から徒歩1時間20分
・JR防府駅から車で15分

・JR富海駅から徒歩1時間25分
・JR富海駅から車で15分

●最寄りのバス停
・防長交通
 阿弥陀寺 バス停から徒歩すぐ

●最寄りのIC
・山陽自動車道
 防府東ICから車で15分

山陽自動車道
 防府西ICから車で20分

●駐車場
・無料の専用駐車場あり

阿弥陀寺の地図

 

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