籌勝院の御朱印情報|遊撃隊が本陣を置いたお寺(山口県岩国市)

所在地山口県岩国市小瀬264
宗 派曹洞宗
札 所中国地蔵尊霊場 第13番
由 緒1545~1619年、安芸香川氏の一族で毛利氏・吉川氏の家臣だった香川春継が先祖の菩提を弔うために建立したお寺といわれています。1866年、第二次長州征伐(四境戦争)の際、長州軍の遊撃隊士が本陣を置いたお寺として知られています。
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山門


中国地蔵尊霊場の第13番札所であります籌勝院に到着。

このお寺の正式名称は喜本山 籌勝院

喜本山 籌勝院と書いてきほんざん ちゅうしょういんと読みます。


もともとこのお寺は、湯原八幡宮の社坊で宮坊と呼ばれていたという。

それが、1596年に岩国領主・吉川氏の家老・香川春継さんが、周防玖珂町小瀬村(現・岩国市小瀬)のこの地に父・光景の位牌所として喜本院としたそうです。

その後、香川春継がお亡くなりになった後、子の香川家景さんが父の菩提を弔うために位牌所を建立。

そして、父の戒名・籌勝院殿幹翁秀英居士から寺号を籌勝院と改め、山号を喜本院から喜本山にしたといわれています。

そんなこんなで、参拝開始。


●山門

●山門
・建立年不明
・瓦葺 切妻造 薬医門

まず最初に登場するのは両サイドに袖塀を設けた山門

厳粛な空気が漂う、威厳を感じる薬医門でした。


山門には欄干とかにある笹金具のような錺金具のような彫刻がありました。

いい仕事してます。


そんなこんなで、山門をくぐって境内へ・・・

と言いたいところですが、戸が閉まっていたので勝手口のようなところから境内へ。
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六地蔵・いぼとり地蔵・やすらぎ地蔵

●六地蔵

境内に入ると、参道脇にて六地蔵さんがお出迎えしてくれました。


●六地蔵①②
・檀陀地蔵さん(左)
 地獄道担当で持物は錫杖と宝珠。

・宝印地蔵さん(右)
 畜生道担当で持物は幢幡。


●六地蔵③④
・宝珠地蔵さん(左)
 鬼道担当で持物は宝珠。

・日光地蔵さん(右)
 天道担当で持物は柄香炉。


●六地蔵⑤⑥
・除蓋障地蔵さん(左)
 人道担当で持物は念珠。

・持地地蔵さん(右)
 修羅道担当で合掌ポーズ。


●いぼとり地蔵

その他、境内にはいぼとり地蔵さんもおられました。

その名な通り、イボをとってくれるお地蔵さんです。


●やすらぎ地蔵

あと、やすらぎ地蔵さんもおられました。

中国地蔵尊霊場の札所というだけあって、境内は地蔵さんだらけだね。
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手水鉢・鐘楼

●手水鉢

そんなこんなで、手水鉢でお清め。

どう見ても水がよどんでいたので、水道水でお清めしてきました。


●鐘楼

●鐘楼
・建立年不明
・瓦葺 切妻造

台座の四隅にギリギリ建つ鐘楼・・・

鐘を撞くと振動でズレ落ちてしまうんじゃないのか・・・とか何とか想像してみたひと時。

なかなか攻めた造りだね。
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本堂・遊撃隊士の墓

●本堂

●本堂
・建立年不明
・瓦葺 入母屋造
・本尊 釈迦牟尼佛

続いて、本堂で参拝。

なんと、このお寺は四境戦争・芸州口の戦いの際、長州藩諸隊の1つ遊撃隊の本陣が置かれた場所なんだと!

●第二次長州征討(四境戦争)とは?

ザックリと簡単に第二次長州征討(四境戦争)とは、江戸幕府が過激な長州藩を処分するために行った戦争です。

長州軍 vs 幕府軍の戦いです。


1864年、禁門の変(蛤御門の変)の処罰のため、幕府は第一次長州征討の兵を起こしました。

幕府は降伏の条件として、禁門の変の責任者である長州の三家老の切腹を要求し、長州藩はそれを受け入れました。

この時、切腹を命じられた三家老は国司信濃福原越後、そして益田家の33代当主・益田親施でした。

1866年、幕府は再び長州を攻めます。
いわゆる第二次長州征討(四境戦争)です。

長州藩の4つの藩境である石州口(島根県西部)・芸州口(広島方面)・大島口(瀬戸内方面)・小倉口(北九州方面)で戦闘が行われました。

このことから、第二次長州征討は四境戦争と呼ばれることもあります。

厳密にいえば
幕府目線の場合は第二次長州征討
長州目線の場合は四境戦争と呼ばれます。


●四境戦争・芸州口の戦いとは?

第二次長州征討(四境戦争)・芸州口の戦いに備え、幕府軍は広島城に彦根藩(滋賀県)・紀伊藩(和歌山県)・高田藩(新潟県)・与板藩(新潟県)など3万の軍勢を集結。

そして1866年6月13日、彦根藩と与板藩の兵は油見村の顕徳寺(広島県大竹市)に陣を置き、その日のうちに彦根軍500人は大竹村の大瀧神社に進み、一部は小瀬川(現・大和橋付近)に布陣。

高田藩は立戸(広島県大竹市)に布陣し、一部は与板藩の兵とともに小島新開(広島県大竹市)に陣を置きました。

一方、長州軍は岩国領の兵を主力とし、小瀬川口の総督は岩国領主・吉川経幹があたりました。

そして一部の隊は、すでに13日夜に大竹側に進み、夜明けを待っていました。


そんなこんなで13日の夜、幕府軍は小瀬川の大竹側から3発の大砲を撃ち込みました。

しかし、対岸の和木側は静かなまま。

実は長州軍は対岸の竹藪に陣を敷き、息を潜めて待ち受けていたのでありました。


そこで14日の早朝、彦根藩の使者である竹原七郎平曽根佐十郎が小瀬川を渡ることに。

竹原七朗平は封書を高く掲げて川を渡っていましたが、川の中央に差しかかったとき、対岸から一斉に銃撃され、2人とも倒れてしまいました。

そのことにより、芸州口の戦いが開戦。

彦根軍は小瀬川を渡ろうとしますが、対岸の長州軍から集中攻撃を受け、さらに瀬田八幡宮がある山から大砲攻撃を受け、小瀬川は血に染まったという。

その後、周辺の各地で戦争が起こり、彦根軍は多くの戦死者を出しました。

長州藩の兵は少数ながら最新鋭の武器を使い幕府軍を圧倒。

しかし、幕府軍は戦力の立て直しを図り、西洋式の装備を持つ紀州藩を投入し一進一退の膠着状態となりました。

9月2日、幕府は勝海舟を派遣し、宮島の大願寺で停戦交渉を行い、芸州口の戦いは引き分けに終わりました。

芸州口の戦いは引き分けでしたが、周防大島口、小倉口、石州口の戦いで幕府軍は完敗

そして急速に明治維新に傾くのでありました。


●遊撃隊士の墓

そんなこんなで、境内には四境戦争・芸州口の戦いで戦死した遊撃隊士の墓がありました。

遊撃隊は1863年に組織された長州藩諸隊の1つです。

ちなみに長州藩諸隊とは、長州藩で編成された、藩士以外の様々な身分の人が結成した部隊の総称です。

最盛期には100以上の長州藩諸隊が結成され、倒幕に貢献したといわれています。

●主な長州藩諸隊
・奇兵隊
・第二奇兵隊(南奇兵隊)
・遊撃隊
・報国隊
・八幡隊
・力士隊
・御楯隊などなど

安禅寺の御朱印情報|四境戦争・芸州口の戦いゆかりの寺(山口県玖珂郡)
所在地山口県玖珂郡和木町和木1丁目6−18宗 派曹洞宗由 緒1331〜1333年、和木村山ノ下に創建したのが始まり。創建当初は天台宗寺院で黙養寺と称していたそうです。その後、1398年に現在地へ移転し、臨...
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香川春継の墓・観音堂

●香川春継の墓

境内には毛利元就・吉川元春・吉川広家の家臣として活躍した香川春継さんのお墓もありました。

籌勝院は香川春継が先祖の菩提を弔うために建立したお寺といわれています。


ちなみに岩国市の人気観光スポット・吉香公園には香川家の長屋門がありました。

さらに吉香公園にある吉川史料館では、黒田孝高(官兵衛)が香川春継さんに宛てた書状を拝観することもできました。


●観音堂

●観音堂
・建立年不明
・瓦葺 入母屋造

その他、境内には聖観音さんを安置する観音堂がありました。


そんなこんなで、参拝終了。

いやはや、素敵なお寺さんでした。

旧山陽道跡・吉田松陰の歌碑

●旧山陽道跡

参拝後、籌勝院の周辺を散策していたら旧山陽道跡の説明板を発見。

旧山陽道とは、奈良時代に整備された奈良から太宰府までの官道です。

江戸時代には参勤交代などで賑わったんだとか。

現在は全く昔の面影はないけど、かつてはたくさんの人々が行き交ってたんだろうなぁ。


とか何とか思いながら歩いてると木のカツラをかぶったような石碑を発見。

どうやらこちらは吉田松陰さんの歌碑のようです。


●吉田松陰の歌碑
・1969年建立
・岸信介 書

石碑には吉田松陰さんが詠んだ歌が刻まれていました。

吉田松陰さんは江戸に護送される途中、藩境であるこの地で故郷に最後の別れをしたそうです。

この歌碑には、そのときに詠んだ歌が刻まれていました。

夢路にも

かへらぬ関を 打ち越えて

今をかぎりと 渡る小瀬川

安政六年五月二十八日 吉田松陰

この1年半後、松陰さんは江戸の伝馬町牢屋敷で処刑されました。

なんか、泣けるね。

御朱印情報

●御朱印の種類
・中国地蔵尊霊場の御朱印(南無地蔵尊)

●御朱印の受付場所
・庫裏

●御朱印の受付時間
・不明

●御朱印の料金
・300円

●期間限定・特別御朱印
・なし

●オリジナル御朱印帳
・なし

・2018年2月5日 参拝
・2023年6月 更新

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参拝情報とアクセス

●開門時間
・不明

●拝観料
・無料

●最寄りの駅
・JR山陽本線
 和木駅から車で10分

・JR山陽本線
 大竹駅から車で10分

●最寄りのバス停
・大竹市コミュニティ
 中津原 バス停から徒歩5分

●最寄りのIC
・山陽自動車道
 岩国ICから車で10分

・山陽自動車道
 大竹ICから車で10分

●駐車場
・無料の専用駐車場あり

籌勝院の地図

 

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