西郷寺の御朱印|時宗布教の大道場|時宗最古の本堂|尾道 古寺めぐり(広島県尾道市)

所在地広島県尾道市東久保町8−40
宗 派時宗
由 緒1332〜1334年、遊行六代・一鎮が開基。もともとは西江寺という寺号でしたが、後の時代に西郷寺に改称したそうです。境内には国の重要文化財に指定されている大門と本堂があります。
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西郷寺とは?


尾道市街地の線路沿いにはたくさんのお寺が点在しています。


そして線路沿いには各寺の道標が立っているので、ついつい立ち寄りたくなっちゃう!


そんなこんなで、西郷寺に到着。

このお寺の正式名称は智月山 等持院 西郷寺

智月山 等持院 西郷寺と書いてちげつさん とうじいん さいごうじと読みます。


もともとは入り江(尾道港)の西側に位置することから西という寺号だったんだって。

ということで境内の片隅には、西江寺時代の石標が残っていました。

しかし!

明治維新の際、寺号の届け出をしたときに誤って西郷寺になってしまったのだとか!(諸説あり)

なんだ、この面白エピソードは(笑)


その他、防地川の川面に映る名月が西方浄土の寂光と感じたことから西江寺と名付けられたという説もあるそうです。

そして江戸時代に川が埋め立てられ、西郷寺となったのだとか。

私的には届け出を間違った説の方が好きです(笑)


そう言えば、浄土寺の近くに姿三四郎のモデルといわれる柔道家・西郷四郎さんの銅像があった!

西郷四郎さんは病気療養のために西郷寺の近くにあった吉祥坊に住んでいたという。

西郷寺西郷四郎・・・偶然すぎる西郷つながり!

不思議な縁ですなぁ。


山号は智月山
院号は等持院
寺号は西郷寺

等持院といえば京都の等持院を思い浮かべてしまう私です。

京都の等持院は足利氏の菩提寺、ならびに足利尊氏さんのお墓があることで有名です。

もしかしたら、この西郷寺は足利尊氏さんにゆかりのあるお寺さんなのかなぁ?


と思ったら、やっぱり!

なんとこのお寺の本堂足利尊氏さんの寄進

さらに御本尊足利尊氏さんの念持仏なんだと!

ちなみに、足利尊氏さんの戒名は等持院殿仁山妙義大居士長寿寺殿です。


宗派は時宗遊行派

西郷寺は常称寺とともに時宗布教の大道場だったという。

現在、全国に時宗の寺院は約400寺しかありません。

そのうち広島県内には8ヶ寺

その8ヶ寺のうち6ヶ寺が尾道に集中しているという!

尾道という小さな町に6ヶ寺の時宗寺院が集中しているのは、他の地域に比べるとちょっと異常ですね。

ちなみに現在、尾道市街地には25の寺院があります。

●宗派の内訳
・真言宗  8ヶ寺
時宗   6ヶ寺
・浄土宗  5ヶ寺
・浄土真宗 3ヶ寺
・曹洞宗  2ヶ寺
・日蓮宗  1ヶ寺

時宗が第2位にランクインしているという!

やはり尾道のお寺事情は独特だぁ。


江戸時代前期頃まで、門前には尼寺12坊もあったという。

そして明治時代末期頃には永福寺正念寺地蔵院毘沙門堂水之庵という5つの末寺があったそうです。

しかし現在は正念寺以外は廃寺になっています。

一説によると、水之庵は織田信長を裏切り毛利氏を頼って尾道に逃れた荒木村重さんが一時身を寄せていた場所といわれています。

そして村重さんは剃髪して道薫と名乗り、水之庵で茶の湯を楽しんでいたのだとか。

ちなみに水之庵は、現在の市立図書館近くに建っていたそうです。

そんなこんなで、参拝開始。

等持院の御朱印〜足利将軍家の菩提寺~(京都府京都市北区)
住 所京都府京都市北区等持院北町63宗 派臨済宗 天龍寺派由 緒1341年、足利尊氏が現・京都市中京区柳馬場御池付近に等持寺を建立したのが始まりといいます。1343年、現在地に別院・北等持寺を建立。足利尊...
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山門と手水舎と鐘楼

●山門

●山門
・1362〜1368年建立
・瓦葺 切妻造 四脚門
・国指定重要文化財

まず最初に登場するのは山門

なんと、この山門は1362〜1368年建立の国重文!

余計な装飾は一切なく、簡素な造りが逆に重厚感と品を生み出している建物でした(個人的感想)


シンプルな板蟇股も室町建築っぽくて素敵です。


説明板には棟門と書いてあったけど、どう見ても四脚門なんだよなぁ・・・(-“-;) ??

私の目がおかしいのかなぁ?


一説によると、この山門は備後国の相方城主の夫人・大弌房尼が1395年に建立したものともいわれています。

大弌房尼は、このお寺を開基した一鎮上人に帰依して尼となり、この地でお亡くなりになったといわれています。


そんなこんなで、山門をくぐって境内へ。


●参道

とのことなので、石畳を歩いて参拝します。


●手水舎

●手水舎
・建立年不明
・瓦葺 切妻造

続いて、手水舎でお清め。


●鐘楼

●鐘楼
・建立年不明
・瓦葺 入母屋造

鐘楼は鐘を撞くことはできませんでした。
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本堂

●本堂

●本堂
・1353年建立
・瓦葺 寄棟造
・国指定重要文化財

続いて、本堂で参拝。

なんと、このお堂は時宗最古の本堂だという!

当然、国重文です!

私的には国宝でもいいんじゃないの〜と思っています(笑)

全国的に時宗寺院が少ない中で、室町時代の時宗寺院の遺構が残っているのは大変貴重で価値が高いんじゃないかと!(個人的感想)


ネットの情報によると、足利尊氏さんが院号念持仏、そして仏餉料銭二万貫の寄進して建立したお堂のようです。

ということで、等持院という院号はこの時に賜われたものなんですね。

※仏餉料とは仏さまへお供えするご飯・お米のことです。


建立年は1353年。

偶然かどうかはわかりませんが、尾道において時宗の布教活動の拠点であった常称寺の大門も1353年建立です。

室町期の時宗寺院の伽藍が残っている常称寺も感動しますが、時宗最古の本堂が残っている西郷寺も感動!

つまり、尾道の時宗寺院は感動の空間。


山門同様、本堂もとてもシンプルな造りになっていました。

室町建築によくありがちな柱上に舟肘木を置くだけの簡素な造り。

ゴチャゴチャした要素がなく品があるので私的には好きな造りです。


とはいえ、建立当初の姿のまま現在に残るお堂ではないみたいです。

このお堂は建立以来、度々修理を重ねたらしく、様式も変化していったみたいです。

しかし1964年の解体大修理の際、格天井を鏡天井に、そして床は畳が取り払われ板張りに変更し、創建当初の姿に復元したんだって。

堂内は外陣が内陣を囲むような造りになっていました。

もしかしたら、外陣は時宗の特徴である踊念仏がしやすい造りにしてるのかな?


戸は寝殿造などに見られる蔀戸

お上品ですねぇ。


過去、何度かこのお寺を参拝しているため、開堂時と閉堂時の本堂を見てきました。

蔀戸が開いているときと閉まっているときとでは違った表情を見せてくれ、また違った印象を与えてくれました。

両方素敵なんだなぁ~、これが。


背後の山の尾根筋屋根の形が似たように見えるのもこの本堂の特徴です。

御住職によると『山に沿うように、本堂を建てる位置と屋根の形が決められたのでしょう』とのことです。


堂内には鳴き龍天井と呼ばれる天井があり、手を叩くと天井から龍の鳴き声みたいな乾いた音が響き渡るという。

龍の鳴き声・・・誰か聞いたことがあるんだろうか?(笑)

実際、手を叩いてみましたが、よくわかりませんでした!

私の叩き方が下手だったからかな?(笑)


●御本尊 阿弥陀如来立像
・1285年作
・像高 98.9cm
・檜材 寄木造
・尾道市指定有形民俗文化財

●脇侍 観音菩薩立像
・1285年作
・像高 66.3cm
・檜材 寄木造
・尾道市指定有形民俗文化財

●脇侍 勢至菩薩立像
・1285年作
・像高 66.4cm
・檜材 寄木造
・尾道市指定有形民俗文化財

御本尊は足利尊氏さんの軍中念持仏と伝わる阿弥陀三尊像

像内には足利尊氏さんの位牌が納められてるんだって!

さらに、2013年の保存修理の際、脇侍の観音菩薩像と勢至菩薩像から、それぞれ15枚ずつ印仏が発見されたという!

その印仏には

ちヽハヽの御かうやうのため たちハなの吉近 弘安八年二月十八日
(父母のご孝養のため 橘吉近 弘安8年2月18日)

と記されていたという!

これまで阿弥陀三尊像は南北朝時代作とされていましたが、今回の印仏の発見により1285年作(鎌倉時代後期)ということがわかったんだって。


この阿弥陀三尊像を造立した橘吉近さんとは何者なのか?

西郷寺の近くにある浄土寺の納経塔(国重文)は光阿吉近という者が建立しています。

果たして橘吉近さんと光阿吉近さんとの関係性は・・・!?(ミステリー)


~画像はリーフレット(50円)より~

●一鎮上人坐像
・1333〜1392年作
・像高 約80cm
・寄木造
・広島県指定有形文化財

その他、堂内には西郷寺を開基した一鎮上人坐像が安置されていました。

ちなみに、堂内は撮影禁止でした。
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毘沙門堂と七福神

●毘沙門堂

●毘沙門堂
・建立年不明
・瓦葺 入母屋造

本堂の隣には毘沙門堂がありました。


毘沙門堂といいながら、堂内には七福神がお祀りされているというね!

毘沙門堂というより七福神堂と呼びたくなるお堂でした。


説明板に『境内の水之庵鎮守社や、毘沙門堂など、江戸時代当時の面影を残しています。』と書いてあったので、もしかしてこの毘沙門堂は江戸時代建立?

ちなみに毘沙門堂の裏には庫裏があります。


●七福神
・2010年建立
・花崗岩

その他、境内にはコミカルな七福神もおられました。

どうやらこの七福神は2010年に尾道大学美術科の生徒によって制作されたもののようです。

国道2号線 尾道バイパス向峠交差点の工事中に出土した花崗岩の自然石で制作したものなんだって。


一瞬、矢印?

と思いましたが、よく見たら敷石で宝船の形が表現されていました。

さすが美術科。
アート性が高い作品です。


それにしても毘沙門天のインパクト!

これはバイキング・・・

いや、ビックリマンシールにありそうな・・・

個人的な感想ですが、な〜んとなくお寺の雰囲気に馴染んでないような・・・あくまで個人的感想ですよ!


こちらは巾着袋のお賽銭箱です。


その他、天円地方の概念というアート作品がありました。

初めて参拝した当時はこのようなアート作品はありませんでした。

もしかしてポップ化に路線変更したのかな?
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その他の見どころ


境内には石仏や石塔などが点在しています。

こちらは2008年の写真。


そしてこちらは2013年の写真。

無縁仏の前に六地蔵さんがお引越ししてきていました。


塀が変わって開放感が出てる!


こちら側も塀が変わって開放感!


どうやら尾道らしい味のある塀を取っ払っちゃったみたいですね。

ということで、妙にスッキリとした境内になっていました。

昭和ノスタルジーなあの塀が好きだったのになぁ・・・


そんなこんなで、参拝終了。

いやはや、素敵なお寺さんでした。

御朱印情報

●御朱印の種類
・西郷寺の御朱印

●御朱印の受付場所
・本堂内もしくは庫裏

本堂内にあるインターホンを鳴らすと御住職さまが本堂へ来てくれました。
そして本堂内の小部屋で御朱印を書いてくれました。
ネットの情報によると、庫裏でも頂けるみたいです。


●御朱印の受付時間
・不明(不在の場合あり)

※過去3度参拝しましたが、縁に恵まれず全て不在でした・・・。
そしてこの度、4度目の参拝でやっと御朱印を頂くことができました!


●御朱印の料金
・300円

●期間限定・特別御朱印
・なし

●オリジナル御朱印帳
・なし

・2008年12月28日 参拝
・2009年2月15日 再訪
・2013年2月2日 再訪
・2024年1月7日 再訪
・2024年1月 最終更新

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参拝情報とアクセス

●開門時間
・9:00~17:00

●拝観料
・無料

●最寄りの駅
・JR尾道駅から徒歩25分

●最寄りのバス停
・おのみちバス
 防地口 バス停から徒歩5分

●最寄りのIC
・山陽自動車道
 尾道ICから車で15分


●駐車場
・なし(多分)

※境内の近くに西郷寺の駐車場がありましたが、な~んとなくお寺関係者専用の駐車場のような気がしました。
多分ですけど、参拝者用の駐車場じゃないような・・・
間違ってたらスミマセン!!!

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西郷寺の地図

 

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